中敦

※マフィアin敦君です悪しからず

※モブ女性匂ってますが基本的には中敦です

※一進一退、そんな感じです

※健気だけど何処か闇のあるそんな敦君、天使ですよね

※一応として、ちゅやがあつぴを拾った、っていう設定です(活きてない)

※中←敦って感じです 報われないし少女漫画でしかないです…




「――そうだ敦、少しばかり話がある」

 執務室に訪れていた敦を引き留め、腰掛けて居るソファの隣に座れと促す。キョトンとした表情で、期待したような、勘ぐるようなどちらともつかない様子で、すとんと座って来た。咳払いを一つしてから、本題に入った。

「実はな、俺に見合いの話が来ていてな」

 今時見合いなんてそうそう有り得ないが、首領の趣味なのか、よく幹部クラスの人間に持ち込まれる見合い話。相手は大体が取引先の娘だったり様々だ。兎も角、俺にも漸くその話が持ち込まれた、と云う訳だ。

 机の中から資料を取り出し、敦に見せる。まじまじと見つめる敦の顔を覗き込みながら、先方の説明をざっくりとした。

「あまり僕はこう云ッた、気の強い女性は好みでは無い、ですね」

 よく俺の目の前で云えたな、と聊か虚を突かれる。然し、年頃の少年なら可笑しくないのかもな。未だに納得行かない表情の敦に、揶揄うようにその表情の真意を探ってみる。

「何だ敦、俺の見合いがそんなに気に食わ無ェッてンのか」

 けたけたと嗤って見せると、敦は真っ赤で茹蛸のような顔で見つめ返して来る。思春期の少年とは扱い辛いなと呆れる。収拾がつかない為、資料を敦の両手から乱暴に奪い取り、机の中に仕舞った。溜息を吐けば、敦は未だ何か云い淀んで居る。何なんだ、此奴は。

 思い切ったように「あ、あのですね!」と声を張り上げて叫ぶ敦。煩ェ、と頭を小突く。大きな両目に一杯の涙を溜めて、俺に歯向かって来た。上等だ。

「中原さんは、こう云ッた女性が、好みなんだなッて思ッたら、少しばかり、遠い存在に思ッて仕舞ッたッてだけです。僕は未だ、子供で、餓鬼で、だから、中原さんみたいに成れ無いから……」

 其の先に続く言葉。云われ無くとも、遥かに年上の俺には判った。敦にとって、俺は命の恩人で、俺が居なければ、此奴は其処らで本当に野垂れ死んで居たかも知れ無い。化け物の様な異能を持って居る。制御が出来無い。たった、其れだけの理由で。嫌悪しかされて来なかった此奴が、此処に居ることで、生きる理由を手に入れた。だが、此れは一生を添い遂げる理由には成りはし無い。

 乱暴に、わしゃわしゃと敦の髪を掻き混ぜる。俺も俺で、熱に浮かされたように、脳味噌が沸騰したかのように、調子が狂ったように成った。如何しちまったってんだ、全く。

 此奴は此奴で、矢張り茹蛸の侭で云い淀んだ台詞を噛み殺して居る。何処までも餓鬼だな。

「ッたくよ、俺がこんな糞みてェに胡散臭ェ話、本気にすると思ッたかよ、莫迦敦」

 ひとしきり撫で終わると、泣き止ま無い子供をあやすように、敦の頭をとんとん、と軽く叩く。目を真ん丸にした敦は、口をはくはくとさせて居る。糞、可愛いじゃ無ェか。

「俺がンな簡単な事に気が付か無い訳有るかよ。なァ敦。手前俺の事、好きなンだろ」

――あ、不味い。とんでも無い事云ッちまッた。

 顔をより一層真っ赤にして、蹲って仕舞った敦から目を逸らし、罪悪感に苛まれた。

(何云ってンだ、俺)

「――嗚呼、悪ィ。今のは……何だ、冗談だ冗談。忘れ――」

 一応として謝罪してから、敦に向き直ると、敦はぎゅっと俺の服の裾を掴んで来た。其れから、聞こえるか聞こえ無いか位の、小さな小さな声で、こう云ったのだ。

「――じ、実は、その、非常に申し訳無いのですが、僕実は、中原さんの事…………好き、です」

「……は……?」

――沈黙。静寂。驚愕。其の間、俺も敦も、只固まるしか出来無かった。

(――如何しろッてンだ、畜生――!)

 頭を抱えた。只、揶揄うだけの心算だったのに。真逆、此奴が、敦ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤが、俺の事を好きだ等と云い遣がッた。沸々と煮え切ら無い想いが脳を浸食し始める。

(取り敢えず、首領には後で願い下げして於こう)


 二人が歩き始める迄、未だ、一歩も足り無いようで。此れから始まる怪奇譚。はてさて、如何成る事やら。



ここらへんで許してください、長々と待たせてすいませんでした!!!!

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