劇場版文ストの予想太中(※続かない/リハビリ)
長らく更新してなかったり諸々で結構忙しかったんですが、劇場版でだいぶwktkしてて、屹度こうなのでは!?と辺りのものを本能が破壊し始めたので、さっくり書き起こしておこうと思いました(作文)
※途中で終わります 気が向いたら加筆しますが多分しません
崩れ掛けた鉄筋コンクリヰトを諸共せずに、中也は歩を進める。地面に散らばった硝子の破片がパキパキと乾いた音を立てる。鼻に衝く硝煙の残り香に中也は気づかない。吹き荒ぶ魔都『横浜』の風に中也は身を任せる。鮮やかな弧を描きながら、橙に染まった癖毛から離れる気に入りの帽子に、そっと黒布に覆われた手を翳す。音もせず其れは物理法則に逆らい、中也の元へと舞い戻った。
今の中也にとって、どんな現象も、己が嗜んでいる葡萄酒や名画よりも遥かに流麗に映り、中也を愉しませている。無意識に口許が緩み、紡がれるのは何時ぞや口遊んだ詩で。先刻あれ程迄に建物毎破壊した人物とは到底思えやしない、と風が叫んだ。
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「やァ中也、愉しそうじゃァないかい?」
丁度得意の一節――フレヱズ――を紡ぎ切った処で、何処からともなく一番逢いたくない人物が通りすがった。背筋に走る虫唾は期待か、其れとも――と無駄に意識を明後日へと飛ばすが、黒影は気にも留めずに俺へと呑気に近づいて来る。奴に気づかれないように懐の短刀へと手を伸ばす。だが寸での処で黒影は俺の腕を掴んだ。蛞蝓が這うかのような気色の悪い動きをして、俺の懐に骨ばった手を差し込み、軈て離した。
やっと離し遣がったか――俺が然う思うと同時に、奴は、太宰は無骨な手の中に確りと俺の愛用の短刀を握っていた。俄かに興が冷め、吐き捨てるように舌を打てば、太宰は尚も若気けながら俺に短刀を差し出してきた。
「チッ、何で手前が此処に居遣がる」
「簡単だよ、偶々此処を通りすがッたら、君が居たから御挨拶に――だよ? 後中也、君の攻撃は間合いも呼吸も把握済みだから、無駄な抵抗は止せば善いのに」
真意の読めない表情でくすゝと肩を揺らす太宰を睨みつけながら、太宰の手から差し出される短刀に手を添えた。何も付着していないことを確かめる為に目視したのが気に障ったのか、太宰は拗ねた子供のように唇を尖らせた。尚も苛立ちながら乱雑に短刀を受け取り、太宰に背を向けて歩き出す。歩きながら懐に短刀を仕舞おうとすると、じっとりと濡れそぼっているのに気がつく。眉を顰め、背後に居る太宰へと向き直った。
「手前、俺の短刀錆びつかせてンじゃねェ此の青鯖野郎が」
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